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【解説】 Keepstar攻防戦の舞台裏

この記事では3回にわたって書いてきたDelveでのKeepstar建設を巡る攻防戦の裏で、どのようなことが考えられ、そして実行されたかを解説していきたいと思います。今までの記事をご覧になってない方は是非見ていただけると幸いです。

第一次 FWST-8の戦い / Keepstar建設をめぐる攻防戦

第二次 FWST-8の戦い / Keepstar攻防戦、再び

【まとめ】Battles of Delve Border / Keepstarの建設をめぐる一連の戦闘について

双方の思惑

1. どうしてP.A.P.I.側はここまでしてDelve内にKeepstarを建てたいのか

WWB2におけるP.A.P.I.側の主要目的はImperiumをDelveから追い出すことです。
そのためにはDelveに攻撃可能な拠点が必要なのですが、他のリュージョンからでは戦力を直接Delve内に投入することが難しく、Delve内にそのような拠点を設ける必要がありました。
幸いにもDelveの境界付近は他のリュージョンから直接戦力を投入できる星系がいくつかあり、それがFWST-8やYZ9-F6、319-3Dといった星系だったのです。
またImperium側が損害度外視でKeepstarを破壊しに来るため、自分たちよりも多くの損失をImperium側に強いるという理由もあり、P.A.P.I.側にとっては
「Keepstarが破壊されるもよし、建設できるのであればなおよし」といったどちらに転んでも自分たちに利益があるという状態となったのです。


2. どうしてImperium側はここまでしてKeepstarの建設を阻止したいのか


P.A.P.I.側にとっての利点は、そっくりそのままImperium側にとっての「困ること」に他なりません。
もしDelveにP.A.P.I.側のKeepstarが建ってしまったら、そこを拠点にImperiumの本拠地であるDelveが直接攻撃を受けてしまいます。
P.A.P.I.側のKeepstarが建造された結果、現在Delveの多くの星系がP.A.P.I.側の攻勢に晒されており、いくつかの星系においては領有権の根幹をなすInstructure Hub(以下I-Hub)を喪失するまでに至っています。
そういった意味ではImperium側にとっては数兆 ISK程度の損失を払ってでもKeepstarの建設を阻止する必要がありました。Keepstarを建設されてしまった際に生じる潜在的な損失はそれ以上なのですから。

 

Imperium側の作戦方針


Imperium側はP.A.P.I.側より動員人数が少なく、SuperCapitalの動員能力でも劣っています。
そのため双方が総動員をかけるような戦いにおいて正面決戦でP.A.P.I.側に勝利するのは難しい。しかしそれでもKeepstarは破壊したい。
そのような状況に置かれたImperium側が取った戦術は、諸刃の剣ともいえる撃沈前提の自爆攻撃でした。

ここでまず、Keepstarを含むStructureのヒットポイントの仕様について説明したいと思います。
Keepstarは1億800万のHPを持っていて、これを攻撃可能時間(以下リペアタイマー)の間にゼロになるまで削り切ればKeepstarを破壊することが出来ます。
リペアタイマーは15分間のみですが、リペアタイマー中に1秒間あたり7500HP以上のダメージを与え続けることによりリペアタイマーの進行を止めることが出来ます。
またリペアタイマー中はKeepstarのHPを回復させる方法は存在しません。


そのためImperium側としてはリペアタイマーが進み始めないように常に毎秒7500HP以上のダメージを与えつつ、最終的に1億800万のHPを削り切ればKeepstarを破壊するという目的を達成できるわけです。
そこでImperium側は、Keepstarを攻撃することに特化した撃沈前提の艦隊を組織しそれを逐次戦場に投入し続け、撃沈されたらまた新しい艦に乗り換えて特攻する作戦を敢行しました。

この作戦はあまりにコストがかかりすぎるため、今までKeepstarの攻防戦において撃沈前提の特攻が採用されたのは2017年10月11日に勃発したMTO2-2の戦いのただ一回です。
しかも当時Keepstarを破壊する側だったDrone Region Federationは現地に十分な戦力を「すぐに」準備できず、その後の戦力調達の目途が立っていたからこそから採用できたのです。

Imperium側としては可能であればコストをなるべくかけずにKeepstarを破壊したいわけですから、この戦いには数々の斬新な艦隊が投入されることになりました。
P.A.P.I.側がKeepstarをアンカーし続ける以上、Imperium陣営が最終的な戦略的勝利を収めるためには「P.A.P.I.側のKeepstarの備蓄を尽きさせる」か「Keepstarの建設費用よりも安い損害でKeepstarを破壊しP.A.P.I.側のモチベーションをなくす」かのどちらかしかありません。

そういう意味ではImperium側のとった作戦はあまりにハイリスクでコストがかかりすぎるものであり、結果的に見ればP.A.P.I.側よりも4兆 ISK以上も多くの損失を出しKeepstarの建設阻止にも失敗したわけですから、戦略的大敗北を喫したと言っていいでしょう。

 

P.A.P.I.側の作戦方針


P.A.P.I.側の作戦方針はある意味では極めて単純といえます。
Imperium側が正面決戦を挑んでこない以上、Keepstarに群がるImperium側の攻城用艦隊をひたすら排除するだけです。
これらを排除しない限りKeepstarのリペアタイマーは進行しないので排除せざるを得ないですし、より効率的に排除すればするほどImperium側はより多くの艦隊を投入せざるを得なくなります。
そうすればImperium側の損失が加速度的に増えていくわけですからP.A.P.I.側の利益につながります。
そんなわけでP.A.P.I.側は大量のSubcapital艦隊を使ってひたすらImperium側の特攻艦隊を撃沈しつづける作戦を取っていきました。


数々の艦隊コンセプト

前述の通りKeepstar攻防戦では様々な艦隊コンセプトが登場し、そして消えていきました。
ここでは今回のKeepstar攻防戦で新しく登場した艦隊について解説していきます。

1. 長距離狙撃型Dreadnought


Naglfer級Dreadnought - (安いためか)一番よくつかわれた


Imperium側の切り札。Keepstarから150km~200km程度離れたところにワープさせKeepstarを狙撃するコンセプト。
Keepstarの中心付近にいるP.A.P.I.側のTitanの射程外であり、また3隻程度これがいるだけでKeepstarのリペアタイマーの進行を止めることが出来ました。
ただし、Capital艦なので1隻あたりのコストがとても高いのが欠点。

対策:P.A.P.I.側はCarrierやSuperCarrierの艦載機を送り込み、これらを撃沈していきました。また長距離狙撃型Dreadnoughtのすぐ横に短距離高火力型のDreadnoughtを投入し撃沈したり、一部Titanの射程内に入ってしまったものはTitanのDoomsday Driveの餌食となってしまいました。


2. 長距離狙撃型レイブン

Raven級戦艦 - ミッション用としてはよく見かけるがNullでの戦いでは建造物を攻撃するときくらいしか見ない


Imperium側の切り札その2。
Keepstarから250km程度離れた場所に数百隻単位で送り込み、クルーズミサイルをKeepstarに垂れ流すコンセプト。
初期型はその場で停止してぶっ放すだけでしたが、回数を経るごとにSmartbombを装備したり、攻撃を受けたら他の味方の付近にワープして体制を立て直したり、Micro Jump Driveで逃げたり、neutを装備して自身を捕まえている小型艦を無力化したりなどが出来るように進化していきました。


対策:このタイプのレイブンは、捕まえて殴るだけなので特段の対策が必要とはならず、P.A.P.I.側はKeepstarの上に配置されたEagleやRokhといった元から長大な射程をもつ艦による狙撃の他、小型艦による強襲や艦載機による攻撃など多種多様な艦隊がこれを攻撃していました。

余談になりますが、このレイブンについてはZkillboard上の評価額ベースで280M程度であったもの(つまり市場価格ベースでおおよそその程度の価値があると見積もられる)をImperiumの内部メンバー向けに390Mというぼったくり価格で販売していたことが外部にリークされて失笑を買うことになり、
またImperium所属のアライアンスが、撃沈されたレイブンに対するSRP(艦隊戦などで艦を撃沈された際に支払われる、船を再購入するための補助金)を突然50%カットし艦船の値段の25%しか支払われなくなるなど、ネタに欠かさない船となってしまいました。
(ちなみにCaladrius Allianceでは特別な理由がない限り、装備込みの艦船をそっくりそのまま購入できる程度の額がSRPとして支払われ、他のヌルセクアライアンスの基準から見てもあまりに低すぎるレートであったため今回話題となってしまった)


3. Stealth Bomber

Hound級Stealth Bomber - こんな鉄骨のみで出来てるような船体からBombを投下してくる


小型艦の割にやたらと高火力であり、Covert Cloakを用いた逃走やBombによる攻撃など多彩な手段を持つコンセプト。
最初期ではTorpedoでの攻撃なども行われていたようですが、あまりに損耗率が高くなったせいかBombをKeepstarに撃ち込むやり方へと進化していきました。
このやり方の利点としては、Bombさえ撃ってしまえばその後離脱してもBombがKeepstarに一定ダメージを与えるという点が挙げられ、一発当たり6400ダメージをコンスタントに叩き出せるのはやはり十分な強みといえるでしょう。

対策:Bombの仕様として、Bombが爆発する前にBombを射出した船を撃沈すれば、Bombが不発になるというものがあります。そのためP.A.P.I.側ではBombを迎撃するDefender Launcherを搭載したJackdawやCormolantといった駆逐艦をKeepstarの周りに浮かべ、ボンバーをどんどん撃沈していくという戦術を取っていきました。

4. Over Prop Drone艦

Myrmidon級巡洋戦艦 - PvE用の船までも駆り出されてしまった。


一般にCLやBCクラスの中型艦には50MNのMicro Warp Driveや10MNのAfterBurnerが使われますが、これらの艦はかなり無理をすればBS用の500MNのMicro Warp Driveや100MNのAfterBurnerを搭載することができます。こういった一回り大きいサイズの推進モジュールをOver Propというのですが、
このコンセプトではベクサーやミュルミドン、グノーシスといったドローン艦にオーバープロップを積み、逃げ回ることを目的としていました。
しかしオーバープロップは万能ではありません。特に重大な欠点としては最高速度に達するまで長い時間がかかる点が挙げられ、その間に多くの艦が撃沈されていきました。
またImperium側がきちんとコンセプトを説明できなかったのかそれとも余裕がなかったからなのかはわかりませんが、Over PropですらないPvE用の艦船まで投入されていたのが印象に残りました。

対策:結局のところ足の速いCLやBCに過ぎなかったため、対レイブンや対Bomberなどに用いられていた艦隊で容易に撃沈することができ、それ以降はあまり投入されることはありませんでした。


5. コウアーサーとIntercepter

Coercer級駆逐艦 - Nullではまず見ない艦。これを思いつき、採用するというセンスには脱帽。


最後に登場したのがOver PropのコウアーサーとIntercepterによるKeepstarに対する肉薄攻撃でした。
これらのコンセプトは極めて素早い速度でKeepstarの周りを周回することにより、敵にロックオンされて攻撃を受けるまでの間に敵の射程圏外まで逃げるというものでした。

対策:あまりに早すぎるためJackdawなどのLight Missileではあまり有効打を与えることが出来ず、即時着弾のRailgunを装備したHecateやCormolantなどが1隻ずつ狙撃していくという対策がなされました。

 

Tidiとサーバー処理能力の限界


どうして数の上で劣勢だったImperium側が4度にわたってKeepstarの破壊に成功したのか、それにはEVEの仕様が大きくかかわっています。

EVEには大規模戦などサーバーに負荷がかかる際に、ゲーム内での経過時間を現実時間よりも遅くすることで負荷を軽減するシステムがあり、一般にTidiと呼ばれています。(Time Dilationの略)
Tidiは最大で10%となり、このときゲーム内での時間経過は現実時間の10分の1の速度となります。(つまり現実時間で1時間経過したとしてもゲーム内では6分間しか戦闘が進んでいないことになります)


さて問題はここからです。10%Tidiによって負荷が軽減されてもなお、サーバー側の処理能力が追い付かない場合どうなるのか。
実はそういった場合、サーバー側はプレイヤー側からの入力を一旦保留し順番に処理するようにシステムが組まれているのです。

今回のKeepstar攻防戦のような超大規模戦ではプレイヤー側からの操作入力が受け付けられるまで、ひどいタイミングでは10分近く、平均すれば2-5分ほどかかったのです。
つまりプレイヤー側は敵をロックするのに2分、攻撃を始めるときはさらにそこから2分といったように全ての挙動が大きく遅れるといった現象に苛まれたのです。

操作受付の保留は、恐らく戦場にいた全てのプレイヤーに対して発生していましたが、この戦いではImperium側に有利に働いたと言っていいでしょう。
またImperium側の撃沈前提の攻撃により数多くの残骸が戦場に散らばり、それらもサーバーの負荷を上げる一因となりました。

Imperium側がやることは、言ってしまえばKeepstarを撃つだけです。ですから最低限必要な操作はキープスターをロックオンし、武装を撃つというたった2ステップです。
一方P.A.P.I.側は攻撃しようとする全ての敵に対して、ロックオンと攻撃、そして攻撃を止めるという操作をする必要があり、1つ1つの操作が大きく遅れる環境下ではどうしても有効に敵を撃沈することが出来ません。

特にコウアーサーとIntercepterはこのような環境下では特に猛威を振るい、ロックオンが可能になる距離に入ってすぐにロックオンの入力を入れたとしても、
実際にロックオンが完了し撃ち始めるまでに攻撃可能圏外まで逃げられてしまうケースも多く、
よく言えばこのような環境に適応したコンセプトだなと感心させられました。

バブルキャンプ



バブルに包まれたキープスター - 隙間なく包まれている様子が分かる。


今まではImperium側へ可能な限り損害を与えることも目的の一つではありましたが、5回目はKeepstarのアンカー成功そのものが至上命題として決められました。
そのためP.A.P.I.側はKeepstarの周囲を数百個の設置型バブルで完全に覆い、外部からの侵入を阻止する体制を確立しました。(バブルの詳しい説明についてはsuzumeさんの記事に書かれていますのでそちらをご覧ください)
このバブルによりKeepstarのすぐ近くまでワープで接近することが不可能となり、先ほど紹介した3~5のコンセプトは全て使用不可能となりました。
またさらに従来はKeepstarの中心付近にのみ配置したTitanを数隻ずつの形で予めKeepstarの外縁部に配置することにより、
1番目のコンセプトも極めて大きな被害を出すことが予想され、残された遠距離狙撃型Ravenも途中でバブルに引っかかるなどして操縦不能になることが予想されたため、ついにImperium側はKeepstarを破壊することを断念。
無事にKeepstarを建設することが出来ました。


まとめ


EVEを始めたばかりの人でもKeepstar攻防戦の裏でどのような駆け引きが、どのような作戦が行われていたのかが分かるように解説させていただきました。
ここには書ききれなかったことも色々とありますが、EVEの奥深さが少しでも伝われば幸いです。

このような解説記事を書くのは初めてですのでわかりづらかったりする部分もあるかと思いますが、ご了承ください。

 

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